日本は地震が多い国であり、台風やゲリラ雷雨などのさまざまな災害リスクがあります。

災害によって停電が発生した場合、避難所での避難生活か、自宅での在宅避難かを選択する必要があります。

在宅で避難生活を続ける際には、情報収集や生活のために電気が必要不可欠です。

太陽光発電は停電時にも利用できるため、防災対策として非常に役立ちます。

そこで今回は、停電時に太陽光発電を活用する方法やその特徴、蓄電池の重要性についてご紹介します。

防災対策として太陽光発電を考えている方や、停電時に電気を使う方法を探している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

1.太陽光発電は停電時に稼働できる
■パワーコンディショナの機能により、停電時でも運転が可能
■自家消費可能な電力は100V・1,500W以内

2.停電の際に太陽光発電を動かす方法
■自立運転モードに切り替える
■非常用(自立運転用)コンセントから電気を取り出す
■停電復旧後、連系運転に戻す

3.停電時に太陽光発電を効果的に活用するには、蓄電池が重要
■夜間も電気を使えるようになる
■出力を引き上げることができる
■200V対応機器へ供給で可能な蓄電池もある
■全負荷(全量負荷)と特定負荷では給電範囲が異なる
 ●全負荷型
 ●特定負荷型

4.停電時に太陽光発電と一緒に使う蓄電池の選び方と設置方法
■蓄電池の主な種類
 ●単機能型蓄電池
 ●ハイブリッド型蓄電池
 ●トライブリッド型蓄電池

5.停電時における太陽光発電を利用した防災対策
■在宅避難時の電源供給
 ●情報収集
 ●食料の確保
 ●照明の確保
 ●暑さ・寒さ対策
■在宅避難時に使用する家電製品の優先順位をあらかじめ決めておく

まとめ

1.太陽光発電は停電時に稼働できる

冒頭でも触れたように、太陽光発電は停電時でも稼働させることができます。しかし、どのようにして稼働するのか。

まずは停電時に太陽光発電を稼働させる方法とその供給能力について確認していきましょう。

■パワーコンディショナの機能により、停電時でも運転が可能

太陽光発電設備は、パワーコンディショナの機能を活用することで、停電時にも稼働することができます。

パワーコンディショナは、太陽光パネルで生成された直流電気を交流に変換し、自宅や外部の送電設備に供給したり、太陽光発電を制御したりする役割を果たしています。

さらに、自立運転モードという機能が搭載されており、停電時の運転に大きく寄与します。パワーコンディショナの自立運転モードは、太陽光パネルからの電気でシステムを動かしつつ、自家消費も可能にする機能です。

通常、太陽光発電は電力会社からの送電を利用してシステムを維持しています。そのため、停電時にはシステムを稼働させることができません。

自立運転モードに切り替えることで、停電時でも運転と自家消費ができるようになります。

■自家消費可能な電力は100V・1,500W以内

住宅用太陽光発電を自立運転モードに切り替えると、一般的に100V・1,500Wまでの電力を使用できます。

スマートフォンやパソコンの充電、テレビ、冷蔵庫、LED照明など、消費電力が少ない機器であれば同時に動かすことができます。

ただし、自立運転中の発電量は天候に大きく影響されます。曇りや雨の日には発電量が減少し、使用できる電力が不安定になることがあります。また、夜間は太陽が出ていないため発電ができず、電気を使用することができません。

蓄電池を併用している場合でも、蓄えた電気がなくなると供給が停止します。そのため、医療機器やデータ保存が必要なパソコンなど、突然電源が切れると深刻な影響を受ける製品の使用は避けるべきです。

さらに、消費電力の大きい電気ヒーターや電気ポット、ドライヤーなどは他の機器と同時に使用するのが難しく、エコキュートやIHクッキングヒーターなどの200V対応機器は基本的に使用できないことにも注意が必要です。

2.停電の際に太陽光発電を動かす方法

停電時の機能を確認した後は、太陽光発電を自立運転モードに切り替える方法や電気の取り出し方、復旧後の操作について詳しく見ていきましょう。

■自立運転モードに切り替える

停電が起きた場合、まずは安全のために主電源と太陽光発電のブレーカーをオフにします。電気が流れていないことを確認した後、パワーコンディショナ本体のスイッチやリモコンを使って自立運転モードに切り替えます。

メーカーや機種によって操作方法が異なるため、事前に取扱説明書を確認したり、設置時に施工業者から手順を教えてもらったりしておくと、いざという時に慌てずに済みます。

■非常用(自立運転用)コンセントから電気を取り出す

自立運転モードに切り替えると、発電された電気がパワーコンディショナに接続されている、または近くに設置された非常用(自立運転用)コンセントに供給されます。

その後は、そのコンセントに使用したい家電製品のプラグを差し込むだけで、電気を利用できます。

太陽光発電を設置する際に、リビングの照明やコンセントなど特定の設備に直接配線することも可能です。設計段階で施工業者に希望を伝えておきましょう

■停電復旧後、連系運転に戻す

停電が復旧した際には、自立運転モードから通常の連系運転モードに戻す必要があります。

まず、非常用コンセントに接続されている機器のプラグをすべて抜いてください。次に、自立運転モードをOFFにし、太陽光発電のブレーカー、主電源のブレーカーの順にONにします。

これで、通常通り電力会社からの電気と連携した運転が再開されます。

この操作はメーカーによって手順が異なることがあるため、事前に確認しておくことをお勧めします。

3.停電時に太陽光発電を効果的に活用するには、蓄電池が重要

太陽光発電は停電時にも役立ちますが、蓄電池を併用することで、その効果をさらに高めることができます。ここでは、蓄電池を組み合わせる利点についてご紹介します。

■夜間も電気を使えるようになる

蓄電池を併用する最大の利点は、夜間でも電気を利用できるようになることです。

太陽光発電は日中のみ発電が可能です。そのため、停電が夜に発生すると、照明や情報収集のためのテレビなどが使えず、不安な時間を過ごすことになります。

蓄電池があれば、日中に発電して使い切れなかった電気を蓄えておき、夜間に使用することができます。明かりがあるだけで安心感が増し、食事の準備やスマートフォンの充電もできるため、避難生活の質が大きく向上します。

■出力を引き上げることができる

蓄電池を連携させることで、停電時に利用できる電力(出力)を増やすことが可能です。

太陽光発電単体の自立運転出力は1,500Wが最大ですが、蓄電池にはより高出力のモデルが多く存在します。

例えば、自立運転出力が3kVA(3,000W)の蓄電池を使用すれば、停電時でも電子レンジとテレビを同時に使用することができます。

より多くの家電を快適に使用したい場合、蓄電池の設置は非常に効果的です。

■200V対応機器へ供給可能な蓄電池もある

蓄電池のなかには、強力な200V機器に対応したモデルも存在します。

エコキュートやIHクッキングヒーター、床暖房、大型エアコンなど、200V電源が必要な設備を持つ家庭にとって、これは大きなメリットです。停電時でも200V機器に給電できるため、普段通りの生活を支える助けになります。

■全負荷(全量負荷)と特定負荷では給電範囲が異なる

蓄電池を選ぶ際には、「全負荷型」と「特定負荷型」の違いを理解することが重要です。

●全負荷型
家中のすべての分電盤に電気を供給するタイプです。停電時でも、家中のどの部屋のコンセントや照明も普段通りに使用できます。

●特定負荷型
あらかじめ指定した特定の部屋やコンセント、設備にのみ電気を供給するタイプです。リビングやキッチンなど、生活に必要な場所を限定してバックアップします。

4.停電時に太陽光発電と一緒に使う蓄電池の選び方と設置方法

ここでは、停電対策として蓄電池を導入する際に知っておくべき具体的な選び方のポイントと設置までの流れについて解説します。

■蓄電池の主な種類

家庭用蓄電池は、パワーコンディショナの機能によって主に3つの種類に分けられます。

●単機能型蓄電池
太陽光発電のパワーコンディショナとは別に、蓄電池専用のパワーコンディショナを設置するタイプです。すでに太陽光発電を設置しているご家庭でも、メーカーを問わず後付けしやすいのがメリットです。

●ハイブリッド型蓄電池
太陽光発電用と蓄電池用のパワーコンディショナの機能が一体化したタイプです。電力の変換ロスが少なく、効率的に電気を使えるのが特徴。これから太陽光発電と蓄電池を同時に設置する方におすすめです。

●トライブリッド型蓄電池
ハイブリッド型の機能に加え、電気自動車(EV)への充放電もコントロールできるタイプです。太陽光で発電した電気を、家庭用とEV用の両方で無駄なく活用できます。

5.停電時における太陽光発電を利用した防災対策

太陽光発電と蓄電池は、単に電力を供給するだけでなく、在宅避難を支える強力な防災インフラとなります。ここでは、より実践的な防災対策としての活用法をご紹介します。

■在宅避難時の電源供給

災害が発生した際、自宅が安全であれば「在宅避難」が推奨されます。ハザードマップで浸水や土砂災害のリスクが低いことを確認し、建物の倒壊の危険がなければ、住み慣れた家で避難生活を送ることができます。

在宅避難において、電源の確保は生活の質を大きく左右します。

太陽光発電と蓄電池があれば、

●情報収集
テレビやスマートフォンで最新の災害情報や安否確認ができます。

●食料の確保
冷蔵庫が使えるため、食料の腐敗を防げます。

●照明の確保
夜間の不安を和らげ、安全に行動できます。

●暑さ・寒さ対策
エアコンや扇風機、電気毛布などが使え、体調管理に役立ちます。

このように、電気が使えることは、心身の健康を維持する上で非常に重要です。

■在宅避難時に使用する家電製品の優先順位をあらかじめ決めておく

停電時には使用できる電気の量が限られているため、どの家電を優先的に使用するかを家族で話し合っておくことが重要です。優先順位を設定することで、限られた電力を効率よく利用できます。

まとめ

この記事では、停電時における太陽光発電の利用方法や、蓄電池を併用することの利点、そして防災対策としての重要性について解説しました。

太陽光発電は停電時に自立運転モードで電力を供給でき、蓄電池を併用することで夜間や悪天候時でも安心して電気を使用できるようになります。さらに、200V機器への対応や出力の向上など、その利点は計り知れません。

災害への備えがますます重要視される今、太陽光発電と蓄電池の導入は、ご家族の安全と安心を守るための非常に効果的な選択肢です。

ぜひ一度ご家庭で話し合い、ご検討ください。

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